外国人が台湾で会社を設立する方法:投資審査・資本金・住所の実務

外国人が台湾で会社を設立する方法:投資審査・資本金・住所の実務

手続きの順序、資本金の誤解、そして見落とされがちな認証手続き

⚡ 一分でわかる要点

  • ▸ 台湾の会社法に最低資本金の定めはありません。よく見かける「50万台湾ドル」は、外国人責任者が就労許可を取得するための基準であり、会社設立そのものの要件ではありません。
  • ▸ 外国投資は「投資審査の承認が先、会社登記が後」という順序で、金額の大小を問わず事前承認が必須です。日本の設立手続きとは順序が逆になります。
  • ▸ 日本で発行された書類は中国語訳のうえ、公益財団法人日本台湾交流協会での認証が必要です。台湾はハーグ条約の締約国ではないため、アポスティーユだけでは足りません。

最初にいただく質問は、ほとんどの場合「資本金はいくら必要ですか」です。

実は、それは最初に確認すべき事項ではありません。案件の進み方を実質的に決めるのは手続きの順序であり、その順序は日本での会社設立とは逆になっています。

最も損失が大きい誤解:「まず登記」ではありません

台湾在住者であれば、社名の事前審査、設立登記、税務登録と一直線に進みます。

しかし外国投資家の場合、その前に一段階が挟まり、これが後続のすべてを止めます。経済部投資審議司による事前承認です。この承認がなければ、海外からの送金も、会社の設立登記もできません。

ネット上の情報で特に誤りが多い二点を挙げます。

  • 金額による免除はありません。10万台湾ドルでも1億台湾ドルでも、事前承認が必要です。
  • 担当機関の名称が変わりました。「経済部投資審議委員会」(投審会・MOEAIC)は2023年9月に経済部へ統合され、「投資審議司」となりました。日本語で書かれた解説の多くが旧名称と旧窓口のままです。
ご自身で確認できます:経済部投資審議司の公式サイト(moea.gov.tw)に申請書式、外国人投資が禁止・制限される業種のネガティブリスト、Q&A が公開されています。「外国人投資条例」の全文は全国法規資料庫(law.moj.gov.tw)で無料で閲覧できます。

「最低資本金50万台湾ドル」の実際

台湾の会社法は、有限公司(有限会社に相当)についても股份有限公司(株式会社に相当)についても最低資本金を定めていません。50万台湾ドルという数字自体は実在しますが、それは別の場面のものです。外国人が責任者・経理人として就労許可を取得するための基準です。

目的 基準 付帯条件
台湾法人を設立するだけ 法定の下限なし ただし投資審議司の事前承認は必要
就労許可・居留証(ARC)を取得する 払込資本金 50万台湾ドル以上 外資比率が資本の3分の1以上
2年目以降の更新 年間売上高 300万台湾ドル以上 設立1年経過後に適用

根拠は「外国人が就業服務法第46条第1項第1号から第6号の業務に従事する場合の資格及び審査基準」第38条です。設立1年未満の会社については、次の4つのいずれか一つを満たせば足ります。払込資本金または台湾国内の運営資金が50万台湾ドル以上、または売上高300万台湾ドル以上、または輸出入実績50万米ドル以上、または代理手数料20万米ドル以上。

つまりご自身が台湾に居住する予定がないのであれば、50万台湾ドルを寝かせておく必要はありません。資本金は実際の事業規模に合わせて設定してください。

注意すべき落とし穴:「行号」(個人事業・組合、日本の個人事業主に近い形態)では、外国人経理人の就労許可を申請できません。居留を視野に入れているのであれば、有限公司または股份有限公司を設立する必要があります。設立費用の安さで形態を選ぶと、後で取り返しがつきません。

法人形態の選び方

  • 有限公司——株主1名から設立可能。最も簡素な形態で、小規模事業の標準的な選択肢です。
  • 股份有限公司——自然人株主2名以上、または法人株主1名。将来の資金調達を想定する場合はこちらです。
  • 閉鎖性股份有限公司——株式譲渡に制限があり、創業チームが支配権を維持したい場合に適します。
  • 外国会社の支店(分公司)——独立した法人格を持たず、損益は本社に帰属します。
  • 代表事務所(辦事處)——連絡・市場調査に限定されます。営業行為はできず、統一発票(台湾の税務インボイス)も発行できません。

代表事務所は手続きが簡単なため魅力的に見えますが、販売はできません。実際の取引と入金が発生するのであれば、会社または支店が必要です。

手続きの全体像(順序どおり)

1. 社名の事前審査。使用可能かを確認します。責任者が外国人の場合、この段階で中国語名(音訳で構いません)を決めておいてください。代表者印に彫る必要があり、長い外国名は物理的に収まりません。

2. 投資承認の申請。投資審議司へ、投資計画書と認証済みの身分証明書類を添えて提出します。

3. 設立準備処口座の開設と送金。承認書の受領後に限ります。資金は海外から、会社の設立準備処口座へ直接送金する必要があります。個人口座への入金は不可で、金額も申請額と一致していなければなりません。同時に英文の口座名義を登録しておくことをお勧めします。中国語名義のみでは、日本の銀行から送金できない場合があり、後からの修正は手数料も手間もかかります。

4. 投資額の審定申請。送金通知書と外貨買取書を添えて、投資審議司へ再度申請します。

5. 会社設立登記。投資承認書と審定書を添えて登記機関へ提出し、統一編号(法人番号に相当)を取得します。

6. 税務登録。国税局にて。統一発票購入証の受領には、原則として責任者本人の来庁と署名が求められます。

7. 就労許可と居留証(必要な場合)。労働部へ就労許可を申請し、承認後に内政部移民署で居留証(ARC)を申請します。初回は通常1年間で、その後は営業実績に応じて更新されます。

審査期間は業種、投資家の国籍、出資ストラクチャーによって大きく異なります。ネット上の目安を鵜呑みにせず、担当窓口に直接進捗を照会されることをお勧めします。

書類の認証:気づくのが遅れやすい工程

日本で発行された書類——登記事項証明書、定款、委任状、親会社の身分証明書類など——はそのままでは受理されません。中国語に翻訳したうえで、公益財団法人日本台湾交流協会による認証を受ける必要があります。

台湾はハーグ条約(アポスティーユ条約)の締約国ではないため、外務省のアポスティーユだけでは足りません。この一連の流れには数週間かかり、しかも投資申請を出す「前」に完了させておく必要があります。後回しにすると、そこで全体が止まります。

ご自身で確認できます:台湾外交部領事事務局(boca.gov.tw)が認証手続きと必要書類を公開しています。日本側の窓口については、公益財団法人日本台湾交流協会にご確認ください。書類の種類によって要件が異なるため、翻訳費用をかける前に確認されることをお勧めします。

日台租税協定という論点

日本の事業者に固有の検討事項として、日台租税取決め(2015年署名、2016年適用開始)があります。配当・利子・使用料に対する源泉徴収税率の上限が定められ、二重課税の調整が図られています。

実務上の意味は、「支店にするか、現地法人にするか」という選択が税務上の帰結を左右するということです。支店の損益は日本の本社に帰属し、現地法人は台湾で独立して課税されたうえで、配当時に協定の税率が関係してきます。どちらが有利かは、送金の予定、利益水準、日本側の税務ポジションによって変わります。

この判断は設立形態を決める前に、日台双方の税務に通じた税理士・会計士へご相談ください。設立後に形態を変えるのは、費用も時間も大きくかかります。当社は住所と行政手続きの部分をお手伝いできますが、この論点は税務専門家の領域です。

登記住所:解決できること、できないこと

台湾の会社には登記住所が必須です。これは形式的なものではなく、国税局・経済部・裁判所からの書類が送達される法定の住所です。

日本から経営する場合の現実的な問題は単純です。誰が郵便物を受け取るのか。公文書の応答期限は、責任者が国外にいることを理由に延長されません。受け取れなかった通知も、会社を拘束します。

ビジネスセンターの本質的な価値はここにあります。住所そのものではなく、その住所を見ている人がいること——受領し、仕分けし、その日のうちに通知する体制です。

正直に申し上げるべきこと:

  • すべての業種がビジネスセンターに登記できるわけではありません。許認可業種(営業項目コードの末尾が1。医療機器卸売、酒類・たばこ輸入、不動産仲介など)は場所そのものに規制があり、個別の検討が必要です。
  • 当社は申請に必要な住所証明書類を提供しますが、投資承認や銀行口座開設を保証することはできません。いずれも当局と銀行の専権事項です。
  • 業種が外国人投資のネガティブリストに該当する場合、住所を変えても解決しません。

651IBC は高雄市新興区民生一路56号22階の8(宝成世紀ビル)に所在し、当該物件は当社の自己所有です。転貸ではありません。賃貸契約書・家屋税納税証明・使用同意書を契約時にお渡しし、そのまま申請書類としてご使用いただけます。サービス詳細は高雄の登記住所・バーチャルオフィス、許認可業種は事前評価をご覧ください。

本稿に記載の法令等は執筆時点の現行規定に基づきます。外国投資審査、就労許可および居留許可は、所管官庁が個別事案ごとに判断するものであり、投資家の属性、業種、出資ストラクチャーによって結果は異なり得ます。本稿は一般的な情報提供であり、法律・税務・財務に関する助言を構成するものではなく、いかなる申請の結果も保証するものではありません。個別の認定は、経済部投資審議司、労働部、内政部移民署および各金融機関の審査によります。

よくあるご質問

資本金は必ず50万台湾ドル必要ですか?
いいえ。台湾の会社法に最低資本金の定めはありません。この基準は外国人責任者・経理人の就労許可に関するもので、外資比率が3分の1以上という条件も伴います。台湾に居住される予定がなければ、資本金は事業の実態に合わせて設定して差し支えありません。
先に登記して、後から投資承認を取ることはできますか?
できません。外国投資では承認が先、登記が後という順序で、日本の設立手続きとは逆になります。金額による免除もなく、少額であっても事前承認が必要です。順序を誤ると最初からやり直しとなり、費用も時間も無駄になります。
投審会と投資審議司は何が違うのですか?
同一機関の前後の名称です。「経済部投資審議委員会」(投審会・MOEAIC)は2023年9月、経済部の組織改編に伴い経済部へ統合され、「投資審議司」となりました。日本語の解説記事の多くが旧名称のままですが、実際に審査を行うのは投資審議司です。
アポスティーユがあれば書類は足りますか?
足りません。台湾はハーグ条約の締約国ではないため、日本の書類は中国語訳のうえ公益財団法人日本台湾交流協会での認証が必要です。数週間を見込み、投資申請の提出前に着手してください。
台湾にいる知人に資本金を送金してもらえますか?
できません。資金は海外から、会社の設立準備処口座へ直接送金する必要があります。個人口座への入金は不可で、金額も申請額と一致していなければなりません。台湾国内の第三者による払込は、投資額の審定申請が却下される原因となります。
代表事務所のほうが早くて安いのでは?
手続きは簡素ですが、営業行為ができず、統一発票も発行できません。業務は連絡・市場調査に限られます。実際の取引と入金が発生するのであれば、会社または支店が必要です。なお「行号」(個人事業・組合)では外国人経理人の就労許可を申請できません。
ビジネスセンターの住所だと、銀行口座の開設は難しくなりますか?
正直に申し上げると、審査は厳しくなります。銀行のリスク評価では「登記住所と実際の営業地の不一致」が確認を要する類型とされ、外国投資家という属性が加わることで、さらに慎重に見られます。ただし開設できないという意味ではありません。事業実態を示す資料をどれだけ提出できるか、そして当該住所自体の履歴が健全かによります。
法令や会社情報を自分で確認するには?
代行業者を通さずに確認できる、無料の公的情報源が4つあります:
1. 全国法規資料庫(law.moj.gov.tw)——「外国人投資条例」の全文。
2. 経済部投資審議司(moea.gov.tw)——申請書式、外国人投資が禁止・制限される業種のネガティブリスト、Q&A。
3. 商工登記公示資料査詢服務(findbiz.nat.gov.tw)——社名の重複確認に加え、住所検索が有用です。その番地に何社が登記されているか、うち「撤銷」「廢止」の状態にある会社がどれだけあるかを確認できます。異常に高い比率は、その住所に関する警告サインです。
4. 台湾外交部領事事務局(boca.gov.tw)——書類認証の手続き。
どの事業者に費用を支払う前にも、まずご自身で確認されることをお勧めします。